よくばりな恋
実はわたしは父親の医大の同期だった
院長とは家族ぐるみのお付き合いだ。
院長には3人の息子さんがいて、長男の陸斗さんと三男の空斗くんとは面識がある。次男の海斗さんは大学から東京へ行ってしまってそのまま東京で働いていたから、わたしは残念ながら会ったことがない。3人息子さんがいても、お医者さんになったのは海斗さんだけで、必然的に彼が跡取りとなるらしい。

「院長はひとりくらい翠ちゃんと結婚して欲しいんとちがう?」
事情を知っている長瀬さんが笑いをふくみながら言う。

「ないですよ。恐れ多いです」




「たいへーーーーんっ‼︎」

バタンっと勢いよくドアを開けた、もう1人の栄養士の野口さんが飛び込んできた。


「見ちゃったよ‼︎噂のイケメンドクター‼︎」

「あらどうやった?」

「もうすっごいです‼︎背は高いわ、顔はいいわ、おまけに全身からフェロモン駄々もれ!」

野口さんが興奮してまくしたてる。フェロモン駄々もれって・・・・・・。

「いや~ん、ダンナと結婚したの早まったかも~~」

「嘘ばっかり。野口さん、ご主人とラブラブやないですか。」

「翠ちゃん、そんだけええ男ってことやない」
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