よくばりな恋
フェロモン駄々もれってどんな‥?


「翠ちゃん、院長の息子さんのことは冗談にしても、茜ちゃんもお嫁にいったんだしちゃんと自分の幸せつかまなあかんよ」
長瀬さんはホントにお母さんみたい。

「わかってますよ。さ、仕事しよう!」



必死だった。


母をなくしたのがわたしが中学2年のとき。茜は9歳だった。母を恋しがって泣く茜と開業医で頼まれれば休日はもちろん、夜中でも早朝でも診察する父。家事をこなして、母の代わりをして・・・・・・

「僕たちのために何もかも諦める必要はないんだよ」

そう言って父に背中を押され、大学進学のために家を離れてすぐ、信じられない知らせを受取った。

それは父の死・・・・・・。


お互い一人っ子同士の結婚だった父と母、両方の祖父母もすでになく茜とわたしは2人っきりになってしまった。

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