キミが教えてくれたこと


「みんなー、もうすぐ夏休みだからって浮れてばっかじゃなくて真剣に進路の事考えるんだぞー」


教室のドアが開くと担任が入ってきた


「夏休み明けたら本格的に自分の将来考えて、先生に話すこと!就職を希望してる者は求人情報確認!今年の夏はあっという間だぞー」



先生の声にええええ、落胆する生徒達


茉莉花は未だ将来が決まっていなかった


夏休みが終わるとみんなそれぞれの道に進む

みんなといる楽しい時間もきっとすぐに過ぎてしまうんだろう

ーーずっとこのままだったらいいのに


今までそんな事考えたことなかったが、今切に思っている




「茉莉花は?」

『え?』

ふいに譲二が尋ねてきた

「進路。決まってる?」

『就職…かな』

「茉莉花ちゃん就職希望なんだー!意外!」


特にやりたい事も見つからないまま、「とりあえず大学に」という選択肢は茉莉花の現状ではそこまでの余裕がなかった


「だったら茉莉花には僕のマネージャーしてほしいなー。そしたらずっと茉莉花と一緒にいれるし」


「また譲二君はそういう勝手なこと言ってー!」

二人のやりとりに笑っていた

いつもならハルトがヤキモキして譲二に食ってかかっているのに、未だに彼は窓の外を見ているだけだった


茉莉花も雲一つない空を見上げた


「………」
「………」

そんな茉莉花をみて譲二も百合も心配そうにしていたが、何も言わなかった

二人はいつの日か約束していた

自分達は茉莉花に救われて茉莉花のおかげで世界が広がった


もし、茉莉花が悩んだり苦しんだりしていたら全力で支えになると




「茉莉花ちゃん最近元気ないよね…。何かあったのかな」


廊下で百合と譲二は近頃無理に笑う茉莉花を思い出していた


「茉莉花はきっと、どうしたの?って聞いても答えてくれないよ」



「………」

寂しそうにする百合に譲二は空いている左手で頭を撫でる


「茉莉花が困るから無理矢理聞き出さない。でも茉莉花がほんとに困った時はすぐに手を伸ばして助けになること」


「!」


「今はそれしか出来ないよ。悔しいけど」


眉を下げて笑う譲二に百合は頷いた


「…譲二君」

「?」

「あなた、コスプレとか興味ない?」

「は?」

「だって今の、深夜アニメでやってる主人公が恋する先輩に似てたんだもん!彼ね、実は宇宙から来た戦士で地球滅亡を密かに企んだ組織が地球に身を隠して暮らしててそれでっ…」

「…君と真剣な話が出来るのはもって5分だね」



譲二は頭を抱えてため息を吐いた



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