コワレモノ―人類最後の革命―
「降りて」
トランクを開け、ぐったりした様子の姫乃に呼びかける。
「…何がしたいの?」
トランクから降りずに話す姫乃。
「同じ目に遭わせたいの」
「『目には目を、歯には歯を』ってこと?」
「そういうこと」
「ふ~ん…」
そして姫乃は、意外な一言を口にした。
「好きにすれば?」
「えっ?」
「好きにすればいいじゃん」
「…」
姫乃を引っ張り出そうと、姫乃の胴に手を掛ける。だが、もう一人の私が腕の動きを止めた。
姫乃は、このような言い方をすることで夢壊しに対する意欲をなくさせようとしているのかもしれない。もし私がトランクから姫乃を解放した瞬間に逃げられでもしたら目も当てられない。
「…自分で降りて」
こう言う以外に方法が思い浮かばなかった私は、臆病なのかもしれない。
「分かった。ちょっと待ってて」
姫乃がもぞもぞと動き、トランクから脱皮する。
…次の瞬間。
「…なんて自滅するとでも思ったの!?」
姫乃はすかさず私の後ろに回ると、私の肩を思い切り押した。
「咲羅ちゃんの態度…いちいち気に入らないの! 私にしょっちゅう歯向かってきてさ!」
とっさのことに手も出ない。また前と同じになるのか、と諦めかけたが、幸いにも車は来ておらず、体勢を持ち直すだけの時間はあった。
姫乃への夢壊しは、もう少し時間がかかりそうだ。
トランクを開け、ぐったりした様子の姫乃に呼びかける。
「…何がしたいの?」
トランクから降りずに話す姫乃。
「同じ目に遭わせたいの」
「『目には目を、歯には歯を』ってこと?」
「そういうこと」
「ふ~ん…」
そして姫乃は、意外な一言を口にした。
「好きにすれば?」
「えっ?」
「好きにすればいいじゃん」
「…」
姫乃を引っ張り出そうと、姫乃の胴に手を掛ける。だが、もう一人の私が腕の動きを止めた。
姫乃は、このような言い方をすることで夢壊しに対する意欲をなくさせようとしているのかもしれない。もし私がトランクから姫乃を解放した瞬間に逃げられでもしたら目も当てられない。
「…自分で降りて」
こう言う以外に方法が思い浮かばなかった私は、臆病なのかもしれない。
「分かった。ちょっと待ってて」
姫乃がもぞもぞと動き、トランクから脱皮する。
…次の瞬間。
「…なんて自滅するとでも思ったの!?」
姫乃はすかさず私の後ろに回ると、私の肩を思い切り押した。
「咲羅ちゃんの態度…いちいち気に入らないの! 私にしょっちゅう歯向かってきてさ!」
とっさのことに手も出ない。また前と同じになるのか、と諦めかけたが、幸いにも車は来ておらず、体勢を持ち直すだけの時間はあった。
姫乃への夢壊しは、もう少し時間がかかりそうだ。