コワレモノ―人類最後の革命―

私は、百瀬さんの行動を監視した。だが、見たところ特に変わった様子はなかった。普通に授業を受け、普通にクラスメートと話し、普通に家に帰る。それだけだった。

「う～ん…」

とりあえず、サイトには「特に変わった様子はなかったですよ」と書いておいた。すると、ものの十分でコメントが来た。

「絶対何かあります！　何もないのに、私の彼氏が目移りするわけがありません！」

いきなりこの勢いだったので、少し気後れしてしまった。しかも、そう言われても、いかんせん情報が少ない。もっと情報があれば、別の方法で暴くことも可能かもしれない。

「では、その彼氏さんの名前を教えていただけますか？」

百瀬さんがボロを出さないなら、その彼氏を監視するのも一つの手かもしれない。

当然、「彼氏」の名前は知ることができた。だが、その彼氏が…私の、よく知る人物だったのだ。

これは私にとっては願ってもみない幸運だった。そこまで苦労せずに、百瀬さんの裏を見ることができる。

「分かりました。その人に掛け合って、百瀬さんの裏の顔を見せることはできないか交渉してみます」

そうコメントを残して迎えた翌日。

「ちょっといい？」

私は「彼氏」を教室の外に呼び出した。

「何だよ？」
「ちょっと、協力してほしいことがあるの」
「またかよ…。前のやつだって、あれかなり勇気いるからな？　一回やってみろよ」
「時間があったらやってみるけどね。…で、話を戻すけど」
「今度は誰だ？」
「確か、百瀬美麗の『愛人』なのよね、渡辺？」