コワレモノ―人類最後の革命―
翌日。

四時間目は、体育の授業だった。

体育には、もちろん更衣が必要だ。だから私の義肢がばれてしまうのではないか…と心配した人達も多いかもしれないが、それは冬という時期が救ってくれた。長袖長ズボンのジャージに隠れて、継ぎ目は見えない。

「では、今から持久走のテストを行う。トラックを三周して、タイムを計測する」
「はい」

私は、もともと驚くほどに運動音痴だ。だから、義肢でタイムが遅くなっても心配ない。むしろ、タイムが変わらない気さえする。

「用意、スタート!」

笛の音で、一斉に走り出す。心地よい風を浴びながら…なんていうのは、都市伝説。誰だって、走らされたくないのだ。たった一人、彼女を除いては。

「桑田、二分六秒!」

私達はまだ二周目の半分くらいだというのに、迅奈はとんでもない速さでゴールインした。ゴールラインを過ぎ去った彼女は、運動していなければ間が持たないというのか、その場で屈伸を始めていた。

迅奈は…とんでもない体力の持ち主なのである。

「やっぱり迅奈がトップか…」
「そりゃそうだって。迅奈にはどう頑張っても勝てないよ」

周りで和気あいあいとジョギングを楽しんでいるクラスメートの会話も、迅奈についての会話だった。

そして私達がゴールした頃には、迅奈は汗一つ流していなかった。私達はもうヘトヘトだというのに。

どう夢を壊そうか…。汗を流しながら、そんなことを考えていた。
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