コワレモノ―人類最後の革命―
その晩には、もう黒田からの依頼文があった。だが、それよりも気になることがあった。

「ん?」

黒田よりも先に、「乙骨」さんが依頼文を投稿していたのだ。しかも、黒田と全く同じ文面で。

「…偶然…だよね」

言い聞かせるように呟いた私は、さっさと夢壊しの作戦を考えることにした。

今回は、特に夢壊しを成功させておきたかった。その理由は、私が手足を奪われる前にまでさかのぼる。

その時には、もう私はモデルを目指していた。まだ茉湖がモデルでも何でもなかった頃だ。

だが茉湖も同じくモデルを目指していたということもあり、その頃は仲が良かった。休み時間になると、よく二人で話していた。

「今度のオーディション受ける?」
「受けるよ~」
「茉湖も受けるのか~。ライバル増えちゃうな~」
「何言ってんの、咲羅。咲羅の方がスタイルいいんだし、絶対受かるって」
「そんなにハードル上げないでよ~」

この時、私はクラスの中に溶け込んでいた。今はもう懐かしさすら感じられる。夢壊しを始めてから、かなり口数が減った。疑り深くなり、簡単に話せなくなった。

そして、私が手足を奪われる一週間前。

「すごいじゃん、最終審査まで行って」
「そんなこと言って、茉湖も残ってるでしょ?」
「えへへへ~」

この時私達が受けていたのが…「non-non」の専属モデルになるためのオーディションだった。私も茉湖も最終審査まで残り、このままいけば二人でモデルになれる…はずだった。
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