アロマティック
 毛先を左右に遊ばせたさらさらの髪。すっきりとした細長い輪郭に、聡明そうな広い額。サングラスのときには隠れて見えなかった、細い眉に切れ長の真っ直ぐな瞳。どこか日本人離れした高い鼻筋、魅力的な唇。まさにバランスの取れた顔立ち。
 誰が見ても口を揃えてハンサムというであろう、目を引く顔をしている。
 そしてもうひとつ、大きな特徴。いつまでも聞いていたいと思わせる、艶のある低音ボイス。
 身長も高くて顔もよくて声もいいとか……いい男の見本か!
 ああ、だから芸能界のいるのか。
 どこか冷めた気持ちで考えるみのりは、視線を感じて顔をあげた。永遠だ。
 そういえばなにか話してたっけ?
 顔はやめろとかなんとか……本を投げたことだ。

「悪かったわね」

「態度わりぃー」

 クールに謝るみのりの態度に、くしゃっと笑いながら手を叩いてオーバーリアクション。
 なんて無邪気な顔で笑うんだろう。笑顔が、大人の男から少年に、永遠を変えた。整った顔は完璧すぎてどこか人を寄せ付けない雰囲気さえあるのに、笑うと身近というか、人懐っこくなる。そのギャップが受けているのかもしれない。
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