アロマティック
 にやけた笑みを浮かべる永遠に、会話を聞いていたメンバーは、アロマとみのり、どっちのことをいっているのか怪しいもんだと心のなかでため息をついた。
 勉強熱心な永遠に、感心した直江からの質問は続く。

「アドバイザーさんとは、時間を決めて?」

「仕事の合間も教えてもらってるから、付きっきりです」

「付きっきり? もしかして、えー……と、メンバーのどなたかなのかな?」

 アロマアドバイザーをしていそうなメンバーを探す直江に、目の合った空、聖、天音、朝陽が順々に首を振り、永遠が答える。

「いまちょっと席を外してます」

「それは残念だな。優しく教えてもらえるなら、ぼくも現場ではご教授願いたいな」

 永遠たちがそんな会話をしている頃、ハーブティーを作り終えたみのりは、永遠のいるスタジオへ戻る廊下を歩いていた。

 5人分のハーブティーを作って、みのりは思った。
 それぞれブレンドの違うハーブティーを作るのは苦じゃないけど、ハーブティーの入ったボトルマグを持ち運ぶのが大変かもしれない。
 手に持つより、肩に背負えるバッグに入れた方が楽かな? 家に帰ったら使えそうなバッグがあるか探してみよう。

 ハーブティーを作りながら、ハーブの優しい香りに癒された。おかげで、取り乱していた気持ちもだいぶ落ち着いた。
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