アロマティック

秘密の観覧車

 撮影は順調に進み、最後の夕陽のシーンを撮り終えて、今日の仕事は終わった。
 日が沈み、空にはキラキラとした星が瞬いている。
 今ごろ着替えているはずの永遠を、貸しきりの空いている遊園地、観覧車の下で待った。
 観覧車なんていつぶりだろう? 目の前にそびえたつ大きな観覧車を見上げ、LEDライトに照らされたみのりの顔はイルミネーションに負けず輝いていた。


 みのりが待っている間、Earthのメンバーは永遠と男同士の話をしていた。

「ってことは、俺のときとリーダーのとき、2回も接触してきたんだね。トイレから出てくるみのりちゃんを張ってたみたいだった。凌の動きは、これからも警戒したほうがいいね」

 みのりに近づく凌を見ていた聖の言葉に、朝陽は顔をしかめた。

「まるでストーカーだな」

「会うと思わなかった相手との再会。向こうは悪くとらえてないみたいだから、ヨリを戻したいって考えてるなら今後も接触のチャンスは狙ってくるでしょ」

「ヨリなんか戻すか」

 天音の分析に、永遠は苛立ちを隠さず吐き捨てる。

「どちらにしても、なるべくひとりにさせないようにしないとね」

 空がみのりへの気遣いを見せる。着替えを済ませ、身支度を整えた永遠が指折り数えた。

「撮影が順調に進んでも3ヶ月、か。その間、皆の自由を奪うわけにはいかない」
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