アロマティック
 足を止め、大きな観覧車を見上げる永遠の声がひっくり返る。

「みのりちゃん、乗ってみたいんだって」

「えっ……」

 言葉を失う永遠が珍妙な表情を浮かべ、みのりを振り向いた。

「本当は俺ら、皆で乗りたかったんだけどさ、俺たち4人高所恐怖症でしょ」

「は? はぁ!? 高所恐怖症って、はぁ!?」

 ひっくり返った声が掠れている。
 少なくとも3人は違うだろ‼ 心のなかで永遠が叫ぶ。

「じゃ、そゆことでよろしくー。ちゃんと許可は取っておくからね! はい、じゃあいってらっしゃい」

「くっ……くっそ、あとで覚えてろよ!」

 なにかいいたそうに何度も振り返りながら仕事に戻る永遠。それを見送る4人の間には、弾けるような笑い声が飛び交っていた。

「永遠くん、観覧車嫌いなのかな?」

「みのりちゃんと乗るんだからそんなわけないよ」

 そういって4人は再び爆笑した。
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