アロマティック
「許せる」

「うそでしょ?」

 直ぐに返ってきた返事が予想外のもので、みのりは唖然とした。

「永遠さんと寝たあとでもぼくのもとに戻ってきてくれるなら、ぼくは喜んで受け入れる」

「なっ……なにいってるの!? だいたい永遠くんと、なんて、あの、ありえないからっ」

 静かな口調で答える凌に、みのりは取り乱す。頬が火照るのがわかった。
 平気な顔をしてサラッといってのける、凌の考え方が理解できない。

 永遠くんと寝る!?
 ないないないない!
 わたしたちはキスしかしてないのに、寝るとかそんな突飛な展開、絶対ない‼
 それに、そんな深い関係になったら後戻りできなくなる。
 また、いつか浮気されるんじゃないかって、不安な気持ちを抱えながら生活を送るのはイヤ。

「みのり……?」

 挙動不審に慌てふためくみのりの様子に、凌は首を傾げ、

「永遠さんと付き合ってないのか?」

「つっ!? 付き合って……ないわよ」

 ストレートな問いかけに、みのりの声が裏返る。

「恋人じゃないのか?」

「そんなわけないでしょう」

「それなら俺にもチャンスが―――」

「ありません」

 本当になに考えてるのこの人は。
 ちゃんと、わたしの話しを聞いてるの?

 そこで、カメラチェックが終わり、撮影前の最終チェックに入ったことで、これ以上余計なことを話すことなく済んだ。
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