アロマティック
帰宅後、内鍵を閉めようとしたみのりの前に、押し入るような形で入ってきた凌。窓から入る外灯の光りに顔の片側だけ明るく照らされた効果もあってか、近寄りがたい不気味な雰囲気を醸し出している。
電気のスイッチの入っていない玄関に、唖然と立ち尽くしたみのりは、やっとのことで声を出す。
「なにしてるの?」
突然、目の前に幽霊が現れたように凌が姿を現し、足がすくみ、まるで金縛りにあったように動けない。狭い玄関で、体が触れそうなほど近くに向き合う形で凌が立っていた。
「みのりに会いに来た」
切羽詰まった声。
なにが起こるかわからない恐怖から、喉がしめつけられたように苦しくなる。心臓が内側から不安げに胸を叩いていた。闇のなかで、すがるものもなく、肩に掛けたトートバックをお守りのように握りしめる。
「会いに来たって……ここまでこなくても、撮影現場で会えるでしょう?」
喉がカラカラになり、出る声が掠れる。やっとの思いで唾を飲み込んだ。
「みのりのそばにはいつだって永遠さんか、Earthの誰かがいて近づくことができなかった。わかってるだろ?」
「だからってこういうことするの、どうかと思うけど?」
「これしか方法がなかったんだ」
一歩近づく凌にみのりは一歩下がり、障害物にぶつかる。靴の踵が玄関の段差に当り、これ以上進めないことを教えた。
「近づかないで」
電気のスイッチの入っていない玄関に、唖然と立ち尽くしたみのりは、やっとのことで声を出す。
「なにしてるの?」
突然、目の前に幽霊が現れたように凌が姿を現し、足がすくみ、まるで金縛りにあったように動けない。狭い玄関で、体が触れそうなほど近くに向き合う形で凌が立っていた。
「みのりに会いに来た」
切羽詰まった声。
なにが起こるかわからない恐怖から、喉がしめつけられたように苦しくなる。心臓が内側から不安げに胸を叩いていた。闇のなかで、すがるものもなく、肩に掛けたトートバックをお守りのように握りしめる。
「会いに来たって……ここまでこなくても、撮影現場で会えるでしょう?」
喉がカラカラになり、出る声が掠れる。やっとの思いで唾を飲み込んだ。
「みのりのそばにはいつだって永遠さんか、Earthの誰かがいて近づくことができなかった。わかってるだろ?」
「だからってこういうことするの、どうかと思うけど?」
「これしか方法がなかったんだ」
一歩近づく凌にみのりは一歩下がり、障害物にぶつかる。靴の踵が玄関の段差に当り、これ以上進めないことを教えた。
「近づかないで」