アロマティック
「確かに国内でも認定校はあるよ。だけど、イギリスに行く意味がわたしにはある」

 アロマテラピーの本場で、勉強して自分の知識を高めながら、精油の製造するところを見たり、たくさんのお店を回って、今後使っていくアロマを探したい。

「正直不安だらけだよ。言葉だって、あんまり英語得意じゃないし、見慣れない場所で道に迷ったらどうしようとか。でもね、そこで国際的に通用する資格取得ができたら、それは絶対的な自信に繋がると思うんだ。皆と一緒にいて引け目を感じなくて済むようになる。だから止めるんじゃなくて、背中を押してほしい」

 みのりの言葉のなかに、希望を見つけた聖の心は明るくなった。

「ってことは、戻ってくる気があるんだね?」

 確認のために問いかけ、みのりは頷いた。

「皆が受け入れてくれるなら、戻りたい」

「なにいってんの!? 大歓迎に決まってるじゃん! みのりちゃんの気持ちを皆に伝えたら、絶対分かってくれるよ。もちろん、永遠ちゃんもね!」

 どういうつもりでイギリスまでアロマ留学をするのか、理由を話せば皆はわかってくれる。
 その役は俺が引き受けるからと、全力でみのりのフォローに回った。


 ……ところが、そう上手くはいかなかった。
 空、天音、朝陽は応援しよう! と、前向きに考えるようになったのに対し、永遠は、みのりに会いに行こうともせず、彼女の話題も避けた。
 仕事は淡々とこなすが、普段は黙りを決め込んで、なにを考えているのかわからない。
 例えメンバーの皆が、みのりの話をしても会話に興味も持たず、ひとりで黙々と過ごしていた。
 仲間の皆が心配しても、永遠に変化は表れぬまま、無情にもときは過ぎ……。
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