アロマティック
「喉、楽になったって」

「あぁ……」

 先日、声が枯れていた聖に、うがい用のアロマを作ってあげたんだった。帰りがけにも、しばらく使えるように持たせたのだ。
 あの強力うがい薬、ちゃんと使ってくれたんだね。
 またしても自分が作ったものが感謝されていることに、喜びを感じたみのりから笑顔がこぼれる。

「よかった。声、大事だものね」

「みのりって魔法使いみたいだな」

「魔法使い……?」

「こういうと少し大げさかもしれないけど、周りにいるやつを幸せにしていくっていうか、困ってるやつのマイナスな部分をプラスに変えていくっていうかさ」

「そうかな?」

 わたし、いま永遠に誉められてる? みのりのなかに誇らしい気持ちが溢れる。

「俺らって、メンバー集まるとさ、意識してるわけじゃないけど、固まって他人を寄せ付けないとこあるんだ。それが短所でも長所でもあるんだけど。けど、みのりは自然とそこに溶け込んでるだろ?」

「そう、かな?」

 最初はそのわちゃわちゃぶりにびっくりしたけど、最近は見慣れてしまって、それが当たり前になっているところはある。
 一歩引いて様子をうかがってたメンバーも、最初からウェルカムだったメンバーも、いまは気楽に話してくれてる。皆が気を使わないでくれるから、一緒にいてこっちも余計な気を使わないで過ごせてる。
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