百合の花

◇◆◇



本日14回目の電話がかかってきた。


携帯電話をがっしと掴み、彼女はタップしてそれに応じる。



「…うるさい」



小さな声でそう言って、ぶちっと切った。


「また伊織…?」

「ん」


眠たくて仕方がないから、こたつに突っ伏す俺。

そんな俺を起こしてるつもりなのか、つんつんと彼女――瑠璃は肩をつついてきた。


瑠璃はパジャマである。

モコモコ素材の、冬を感じる瑠璃のお気に入りのもの。

フードを被れば猫にゃんの完成となる、伊織が買ってきたちょっと変態趣味の入ったものだ。


リビングのテレビの前に置いたこたつに合っていて、萌える。


< 13 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop