こうべ物語
「もう卒業まで半年もないし、進学についての面談も始まりますし。野球が出来なければ、愛知に行く意味がないですし…。」
「それでも、まだ焦る段階じゃないと思うけど。」
「目の前で好きな野球が出来ずに困っている姿を見ていると、黙って見守る事なんで出来ないんです。」
「彼はさくらちゃんが必死になっている姿を見てどう思っているの?」
「…。」
『お前に何が分かるんだよ!俺は、俺は…、野球が出来なくなったらもう終わりなんだよ!』
「…、分からないです。」
本当に分からない。
分からないからこそ、自分の出来る事をやりたいと思う。
「彼の気持ちを考えながら、でもいいと思うけどな。」
諭すように淡々と伝えてくる麻里奈に、さくらは次第に苛立ちを覚えてきた。
「麻里奈さんはいいですよね。」
「何が?」
「お金持ちだから。」
「そんなの関係ないわよ。」
「関係ありますよ!」
少し強めの口調で反論する。