こうべ物語



(押しても…、良いよね…。)



自然と指先が震える。



(こんな事してもいいのかな…。)



頭の中に強制的に土下座させられた女子生徒達の顔が浮かぶ。


同時に送信ボタンから指をサッと離してしまう。


土下座させられた時の、見下された笑い声が今でも耳に残っている。



(やっぱり…。)



『大丈夫ですか?』



『体調でも悪いのですか?』



(さくらちゃん…。)



もう一度、送信ボタンに指を当てた。



(きっと…、惨めになるの…、分かっているけど…。)



強く目を閉じる。



(でも…、こんな私でもさくらちゃんのように素直な人間になれるはず…。)



そう思うと同時に、今度はしっかりと送信ボタンを押した。


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