I grumble to Christmas


夕方。
時計の針が定時を告げるとともに、私はすっくと立ち上がる。

「お疲れ様でした~」

予定があるなんて言った手前、部長にはウキウキとした笑みをして見せた。
そんな私に部長からの追い打ち。

「愛しの彼によろしくな~」

いないからっ!!

睨みつけたい衝動を必死に堪え、引きつり笑顔でフロアを出る。

ああ、もう。
なんなのよ、イブ。
ふざけないでよ、イブ。
やってらんないわよ、イブ。

誰よ、日本にクリスマスなんてイベントを持ち込んだ奴はっ。

こうなったら、一人でケーキ買って、ワンホール一気食いしてやるんだから。
なんなら、ワインもボトルの二、三本空けてやろうじゃないの。
ボーナス出たし、自分のために豪華なクリスマスプレゼントだって買って帰るんだから。

お店に行って、店員さんにここからここまで全部頂戴。

なんて、セレブなことまでは流石に言えないけれど、前から欲しかったブランドのバッグを買っちゃうんだから。

心の中でぼやいているうちに、怒りよりも空しさにやられていく。

もう……彼氏がいないだけで、イブって何故こうも空しいのよ。


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