沖田総司と運命の駄犬
遂に来たよっ!春が!





キャーッ。




廊下で、黄色い声が、上がってる。




その黄色い声を受けている主が、教室の前にいて、こちらを見ている。



沖田先輩・・・。




この学校で一番のモテ男。




その、モテ男が、私の座ってる机の前に来て、しゃがんだ。




沖田「寺井 梓さん?」




梓「は・・・はい・・・。」




沖田「僕は、3年の沖田って言うんだけど、君に話があって、放課後に時間、貰えない?」





周りがキャーッと悲鳴を上げた。




梓「はい・・・。」




私は、思わず、返事していた。




沖田「じゃあ、放課後、ここに来て?待ってる・・・。」



そう言うと、沖田先輩は、私に、メモを渡して、去っていった。






私、寺井 梓(てらい あずさ)17歳。高校2年。




遂に!この日が来ましたっっ!!




一つ上の沖田総司先輩に呼び出されたのですっ!




沖田先輩は、新選組にいた人と、同姓同名で、皆の人気者。




凄くモテるのに彼女はナシ。





浮いた話を聞かない。





新選組の人と同じで、お菓子大好き。





だから、女子は、先輩にお菓子を差し入れて彼女のポジションを狙う。





私は、沖田先輩は、格好いいと思うが、私には、好きな人がいる。




アイドルのシンが好きなんだけど、それを、言うと皆に引かれるだろうから、内緒にしている。




そんな私が、学校イチの人気者の沖田先輩に呼び出されたのだ。





「ねぇ、何で、寺井さんが、沖田先輩に呼び出されるの?変なことにならないでよね?」




沖田先輩のファンクラブのクラスメートの子達が、私を、牽制する。





これ、もし、告白とかで、私がOKしちゃったら、イジメに発展するパターン?




私は、その光景を、想像して、ブルッと、身震いする。





無理無理無理無理。




そっか・・・。




沖田先輩は、彼女を、作らないんじゃなくて、作れないのかも・・・。





こうやって何の呼び出しかわからないのに、それだけで、これだ。




イジメの対象になるなんて嫌だもん。





その日の授業は、全く、何をしたかも、覚えてない。





あっという間に、放課後になった。
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