沖田総司と運命の駄犬



僕は、すぐに、自分の部屋に行った。





部屋の襖を開けると、誰も居ない。




沖田「え・・・?梓・・・?どこ?」




また、どっか行っちゃったのかも!




僕は、早朝ということも、忘れて、梓を呼ぶ。




沖田「梓!梓~?どこ?・・・。本当に居ない・・・。どこ行ったんだ?」





とりあえず、土方さんに、報告しよう。




僕は、梓を、探しながら、土方さんの部屋に入った。



スパーン!



沖田「土方さん、梓がいな・・・っ。」




梓「あ・・・。」




梓と土方さんが、布団の中で、抱き合っていた。




心の中に、一気に、どす黒い物が広がる。




何だよ。コレは・・・。



沖田「土方さんと、そういう関係なの?」




梓は、慌てて、否定した。





梓「違っ!」




土方「ん・・・?」




土方さんが起きた。




というより、起きたフリだよね?




梓「土方さんっ!おはようございます。は、離して貰えますか?」




土方「おはよう・・・。あ?・・・あぁ。」




土方さんが、抱きしめていた腕を緩めた。




土方さんは、梓に惚れてる。




抱き合って、朝を迎えた事を、僕に知らせるためだ。





こんな事をしなくても、別に、取らないし!





沖田「土方さん、やっぱりそうだったんだ・・・。だったら、僕に、梓を預けないで、自分で面倒を見たら良いじゃないですか?」




土方「あ?意味が、わかんねぇ・・・。」




沖田「梓の世話役、外して下さい。良いですよね?」




土方「何、言ってんだよ。俺は、ダメなんだよ。」





またコレだ・・・。




僕に、世話役を押し付けるのに、僕を、牽制してくる。



沖田「二人は、そういう仲なんでしょ?だったら・・・。」




梓「違いますっっ!!!」




梓が、今まで、聞いたこと無いほどの大きな声で怒鳴った。





梓「私と土方さんは、そんな関係じゃありませんっ!それに・・・。沖田先輩だって・・・っ。」




僕を、睨んで、何か、言いた気だったが、梓は、部屋から飛び出してしまった。






沖田「土方さん・・・。寝たふりですよね?さっきの・・・。」





僕は、素直に、聞いた。




土方「だったらなんだよ・・・。」




沖田「・・・。止めて下さい!そういうの!」




イライラする。



土方「あぁ?」




沖田「僕に、世話役を押し付けたのは、あなたですよ!それなのに・・・。」





何で、こんな事するんだよ!




梓と、ずっといるせいか、僕は、おかしくなってる。




土方「だったら、何で、梓を昨日、一人にした?何故、島原に、連れて行ってやらなかった?芸妓とまぐわってたんだろ?」




沖田「っ!」




何も、隠さない土方さんの言葉に、僕は、赤くなった。




土方「俺だって、側に・・・。でも、ダメなんだよ!アイツは、“沖田先輩”じゃないと・・・。」





沖田「だったら、こういう事をしないで下さい!」




土方さんが、梓に、ちょっかいを出すのを、見るのは、不愉快だ。




土方「お前、梓に惚れてるのか?」




沖田「っ!ほ、惚れてなんか・・・っ。」




もしかしてって思ったけど、やっぱりそうなの!?




ズバッと、言い当てられて、僕は、狼狽えた。





ちょうど、良い機会だ。




僕は、前から、気になっている事を、聞いた。




沖田「ひ、土方さんだって、梓に惚れてますよね?」




土方「俺は・・・。」





土方さんが、口を開いたその時。

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