沖田総司と運命の駄犬



梓が傷ついた顔をして、飛び出ていき、僕は力を失いその場にへたり込んだ。




沖田「ごめ・・・っ。本当は・・・っ。」




目から涙が、零れ落ちる。




そこに土方さんの怒鳴り声が聞こえた。




土方『オイ!梓っ!こんな刻からどこに行くっ!』





土方『オイっ!ったく!』



まさか・・・!




僕が、襖を開けると、そこにいた土方さんが、僕に怒鳴った。





土方「梓が出て行った!」




沖田「っ!」





また逃亡!?




僕は、すぐに梓を追いかけた。





門番の子が叫ぶ。




門番「西の方角に行きましたっ!」





沖田「ありがとう!」





僕は、梓を追いかける。





なんとなくだけど、こっちに行った気がする・・・。






沖田「はぁ・・・。はぁ・・・。ここ・・・。」




そこは、梓と初めて会った廃屋だった。





人の気配・・・。





僕は、刀に手を置き、ジリジリと間合いを詰める。




すると、中から知ったる声がした。




僕は、少し離れて、中を窺った。



梓『ははっ・・・。懐かしいな・・・。あの時の沖田先輩、怖かったもんなぁ。女の人は、お美代以外、カス扱いだったし・・・。はぁ・・・。沖田先輩・・・。私・・・沖田先輩の事、本気で好きだったのに・・・。きっと、これ以上好きに・・・なる人なんて・・いないよ・・・。沖田先輩にも、愛されてるって、思って・・・っ。』





愛してるよ・・・。




こんなに愛の言葉を並べられて、嬉しい反面、胸が、えぐられるように痛い。




梓は、声を上げて泣き始めた。




しばらくすると、泣き声が止んで、梓の独り言が聞こえる。




梓『月・・・綺麗だなぁ・・・。私も、もっと、可愛くて、スタイルが、良かったら、沖田先輩のこと虜に出来たのかなぁ・・・。』




もう、僕は、君に虜だよ・・・。





こんなにも愛おしいんだから・・・。




眠ってしまった梓に近付いた。





僕は、梓の横に寝転び抱きしめて、唇を重ねた。





沖田「僕が、護るって言えれば、どんなに良かったか・・・。ごめん。梓・・・。でも、僕は、君を生涯愛してると思う。どんなに遠く離れても、梓が時を渡っても、僕は、君だけを想ってる・・・。愛してるから・・・。」




僕は、梓を抱き上げて、屯所へ戻った。





土方さんが、僕達を見て、安堵した。




土方「見つかって良かった。」





沖田「はい。土方さんの部屋に、寝かせても良いですか?」





土方「あ、あぁ・・・。良いのか?」





沖田「はい。でも、着替えは僕がしますから。」




そう言うと、土方さんは、苦笑いした。





僕は、梓を布団に寝かせて、着物を脱がせた。




何度も見た梓の肌に指を滑らす。




沖田「梓・・・。」




僕は、梓の鎖骨に、口付けの痕を残す。





こんな事をしても意味がないのに・・・。




僕は、ギュッと、梓を抱きしめた。
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