沖田総司と運命の駄犬
僕の夢・・・?~沖田side~





失恋から少し経った頃・・・。




僕は、毎日、飼い犬と一緒に、甘味処へ行っていた。




梓は、ブツブツ言いながらでも、付いてきてくれた。




これで、文句も言わずに、付いて来てくれたら、ちょっとは可愛いお嫁さんなのにな・・・。




え・・・?




僕、今、物凄く変な事、考えちゃった・・・。





駄犬が、嫁って!




ないないないない!




僕にとって、お美代ちゃんを失うということが、こんなにも、自分をおかしくさせているんだと思うことにした。




風の噂で、お美代ちゃんは、商家問屋に嫁いだと聞いた。




沖田「お美代ちゃん・・・。どうか、幸せに、なって・・・。」




僕は、届かない声を呟いた。




そして、駄犬を連れて、甘味処巡りをする。




梓「沖田先輩・・・。こんな事、続けていたら、歯が痛くなりますよ?」




沖田「大丈夫。梓は、黙って、付いて来てくれればいいの!」




僕は、梓の手を掴み、甘味処に入る。





「いらっしゃいませ。」




沖田「団子5皿、あと、お茶2つ。よろしくお願いします。」




「はいはい。」





売り子さんが、店の奥に入り、お茶を持ってくる。




「本当に、お二人は仲の良い夫婦やね。最近、もっぱら、評判やねんよ!いつも手を繋いで、甘味食べ歩きしてるって。こんなに、付き合ってくれる旦那さんも珍しいわ。あんた、愛されてるんやなぁ。」




沖田・梓「は?」



何それ?




何で、こんな、駄犬と僕が、夫婦に見えるんだ!?



梓「め、夫婦なんかじゃ!」



梓は、真っ赤になって、否定している。



そっか・・・。



梓には、お美代ちゃんの事があってから、必要が無いのと、梓の希望を聞いて、男装させるのを止めて、おなごの格好をさせていた。




男装のままの方がいいのかも・・・。




「そっか。“まだ”なんやね?こんな可愛らしい恋仲やったらええやないの!早よ求婚せな、他の奴に娶られるで!」




そう言って、売り子の女将さんは、僕の背中をバシッと叩いていった。




沖田「むしろ、誰かに娶られてしまった方が良いんですけど・・・。まぁ、無理ですけど。」




奇跡的に、嫁に行けたとしても、すぐに戻されるのがオチだ。




外見は、年頃のおなごでも、中身はわらしだし・・・。




こんなのに、文句も言わず、一緒にいれるのは、僕くらいじゃない?





って、また、変なこと考えてるしっ!




僕は、目の前で、無邪気に団子を頬張ってる梓を見た。




梓「う゛ぐっ!ゴホッ!ゴホッ!」




はぁ・・・。




おなごと聞いて、呆れるよ・・・。




沖田「ほら、お茶飲んで?そんなに急いで食べなくても、大丈夫だよ。」




僕は、梓の背中をさすりながら、お茶を差し出した。




梓「あ・・・。ありがとうございます!っくっ・・・はぁ・・・死ぬかと思いました!」



夫婦と言うより、親の気分・・・。



飼い主か・・・。



うん。落としどころがあった。



< 63 / 222 >

この作品をシェア

pagetop