Green Magic〜草食系ドクターの恋〜
朝、自分のパソコンを立ち上げると、受信メールを確認した。
【熊谷 玲子】
メールボックスの一番上に彼女の名前があり、小さくガッツポーズをしてしまった。
周りには誰もいなかったので安心した。
内容は、次回の訪問日程についてだった。
ただそれだけだが、顔がにやけてくるのがわかった。
熊谷さんが提示してくれた日程は、どの日も都合は悪くなかったのでその旨を返信した。
すると夕方には、日程が決定した。
「原さん、クリニカルリサーチの熊谷さんからのメールで、次回は9月11日だそうです。カレンダーに書いておいてもらいますか」
「はい。わかりました」
やけににやけた顔で言う原さんが気になったが追求はせず、午後の診察を始めた。
「せんせ~、今日はなんだか上機嫌だと思ったら、熊谷さんからメールが来てたんですね」
診察も終わった後、原さんはニヤニヤしながら近づいてきた。
こういう時の彼女の追求が厳しいことぐらいもうわかっている。
ごまかしたって通用しないこともわかってる。
「いや・・・違いますよ」
でも、ごまかしてしまうんだ。
「そうですか?まぁ、そういうことにしておきますね」
原さんはそう言って、帰っていった。
「はぁ・・・」
早く帰りたかったのか、明日以降いつでも聞くことができると踏んだのか、追求はされなかったが・・・完璧バレてる・・・。
僕は熊谷さんの名刺を見ながら溜息をついた。