素顔のキスは残業後に【番外編】第2話完結
長い腕に解放され、組み敷かれたベッドから身を起こす。
サイドテーブルに置いたスマホを手に取ると、液晶画面には「桜井 拓斗」の文字が浮かび上がっていた。

彼は私と同じ桜井という苗字で、人懐っこい笑顔が可愛いと、女子社員達の間でも人気がある新入社員だ。私は彼の指導を課長から任されていて、何かあった時の為にと電話番号も教えていた。

拓斗くんから電話がかかってくるのって、初めてだよね。
どうしたんだろう?

仕事に熱心な拓斗くんの事が心配になり、留守電を聞いてみる。
ピーッという発信音の後、少し焦った拓斗くんの声が耳に流れ込んできた。

『友花さん。日曜にすみません! 実は月曜提出予定の社内公募の資料作りに会社に来てるんですけど、資料室の鍵を開けて貰えなくて……。
もしよかったら、会社に来て貰えませんか? 本当にすみません』

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