恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
ちょうど誰もいなかった給湯室のテーブルに着いて、石井と向かい合う。
「…森園さんは、すいぶん古庄くんに想いを寄せてるみたいね。もともと考え方なんかは大人びた子だなと思ってたけど、他の生徒みたいに、ただ『イケメンだから好き』っていうのとは違うみたい」
石井は、さすがに佳音の担任だったこともあり、今も古庄のクラスの英語を担当していたので、佳音の人となりもそれなりに解っているようだった。
古庄は「その通り」と言わんばかりに、眉を動かして石井に同意する。
「…でも、あなたの気を引きたいがために、行方不明になったり、『死んでしまいたい』なんて言ってみたり…やってることは子供じみてるけどね」
その困惑を表すように、古庄は大きな溜息を吐いて口を開いた。
「…どうすればいいと思う?このままだと進級も危ないだろう?何かしらの措置を取ってもらうにしても、君や授業担当の先生にも迷惑をかける…」
そう問われて、石井も腕を組んで考えた。
「…あの子があの子自身の心を、癒して、それから強くしてあげないと…」
「どうしたら、そうできる?無理やりにでも、スクールカウンセラーに会わせた方がいいのかな?」