恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
日中は、佳音の母親がいないことは分っていたが、いても何の助けにはならない。却っていない方が、佳音の本当の気持ちを訊き出せ、じっくり話ができるだろうと考えた。
玄関の前に立ち、一呼吸おく。
思い切ってインターホンを押すが、中からは何の応答もない。
佳音は、またどこかをさまよい歩いているのだろうか…?
しかし、前にしばらく学校に来なかった時に対面した、荒れた風貌の佳音を思い出して、それはないだろうと推測する。
古庄は携帯電話を取り出して、土曜日の夜にかかってきた番号へと電話をしてみる。
すると、数コールもしないうちに呼び出し音が途絶え、
「はい……」
と、佳音のか細い声が聞こえてきた。
「森園か?今、お前の家の玄関口にまで来てるんだけど、家にいるんだろ?出てきてくれないか?」
古庄がそう話した後、佳音は何も応えず、代りに家の中に響く足音が聞こえ、パッと玄関のドアが開いた。
息を上げながらそこに立つ佳音は、古庄が想像していたよりも荒れておらず、ひとまず元気そうで安堵する。
相変わらず散らかったリビングに通される。
佳音の母親は佳音のことはもとより、家のこともどうでもいいようだ。かと言って、ずっと家にいる佳音も、家事をしているわけではないらしい。