恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
佳音は、L字型に配されたソファーの上の、雑誌や新聞、洋服などをとりあえず除けて、古庄と自分が座る場所を確保した。
話をする態勢になって、まず何から切り出すべきか、古庄は考えた。
土曜日の夜のことも訊かなければならなかったが、感情に走った話になる前に、現実的な話をしておく必要があると思って、口を開く。
「今のままの状態じゃ、いけないってことは…自分でも分かってるな…?」
古庄からそう投げかけられても、佳音は頷くこともなく、ただうつむいている。
「今まで、お前の気持ちが自然に前に向いてくれるように待っていたけど、もう、ただ待つわけにはいかなくなった。お前が、自然に一歩踏み出せないなら、何か働きかけて手助けをしたいと思っている。それでだ…」
黙って話を聞いている佳音に向かって、古庄は息を吐いて、明確な口調で続ける。
「現実的にいちばん問題なのは、出席日数のことだ。教科によっては、欠課時数がすでに規定数を超えているのもある。3年に上がりたいんなら、明日からでも毎日学校に来ないと…。保健室登校でもいいから、とにかく学校に来てほしい。勉強が遅れている分は、他教科だってできる範囲で俺が見てやるし…」