恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



「弟が死んで…人が死ぬことの意味を、お前は誰よりも知っているはずだ。それなのに、どうしてそんなことを言う?お前が死ねば、悲しむ人間はたくさんいる。そして、俺やお前の両親や、他の誰かの心にずっと消えない後悔を残すんだ」


古庄の言葉を聞きながら、佳音の目からは止めどもなく涙が溢れてくる。

自分の心と向き合うことは、佳音にとってとても辛く、ずっと逃げ続けていたことだった。


「死にたい…なんて、本心じゃないだろ?本当に死のうと思う人間は、寂しさだって感じない。寂しいって感じることは、誰かと一緒に楽しい時間を過ごしたいって…、生きて人生を充実させたいって思っている証拠だ」


自分でも気づいていなかったことを指摘されて、佳音は思わず両手で耳をふさぐ。


それは佳音にとって、一番聞きたくないことだった。

その辛いことから目を背けるために、佳音は古庄へ想いを持ち出して、それで覆い隠そうとし始める。



「…誰か…なんかじゃない!私は、先生に側にいて欲しかったの!それなのに、先生はあの夜に来てくれなかった。そんなこと言って、先生は私のことなんて、どうでもいいんでしょ!?」



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