恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜
古庄はようやく配布物がひと段落した教室へと入っていき、森園佳音に声をかける。
そして帰り支度をさせ、二人で教室を出て行った。
それを見はからって、真琴は古庄のクラスの教室に入って行き、自分のクラスより先にこちらの終礼を始める。
「あれ~?古庄先生は~?」
「今まで居たけど~?」
教室からそんな声が漏れてくるのを聞きながら、古庄は佳音の背中をそっと押して階段を下りた。
それから、古庄はなかなか戻ってこなかった。
管理棟の閉まってしまう7時半が近づいてきても戻ってこないので、真琴は古庄の携帯に電話をかけてみた。しかし、着信音は古庄の机から聞こえてくる。例によって、携帯を置きっぱなしのまま出かけたらしい。
仕方がないので、真琴は古庄の机の上にメモを残し、古庄の携帯を携えて、タクシーで帰途に就いた。
古庄が真琴のアパートにやってきたのは、すでに8時を回っていた。
ドアを開けて古庄が部屋の中に入ってきた瞬間、真琴はこの数時間古庄が背負わなければならなかった“重いもの”を察知した。
憔悴している表情は、普段学校で見るはつらつとした古庄からは想像もできないほどだった。