恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜




「この天ぷらは、森園さんが揚げてくれました。食べてみてください」


「うん、さっき食べた。上手に美味しくできてたよ」


そう言って笑いかけてくれる、古庄の笑顔。

端正で完璧な相貌に加え、幸せで満たされた古庄の笑顔に、佳音は言葉もなく見入ってしまう。

本当にこの上ないこの笑顔は、古庄が教師の顔になる学校では見ることのできないものだった。


古庄をこんな笑顔にさせる力のあるのは、真琴だけだ。

古庄に言い寄る女子生徒をはじめ、他の女性たちとは違う次元で古庄を愛しているからこそ、真琴には古庄をこんな風に幸せで包み込める力がある。


そして、そんな真琴が、古庄のために心を込めて作ったこの食事は、古庄だけでなく、佳音のお腹も心も満たしてくれた。







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