恋はしょうがない。〜職員室の新婚生活〜



「賀川先生、やっぱり貧血がひどいみたいね。一度、病院できちんと診てもらった方がいいと思うわよ」


「…はい」


真琴は素直に頷いた。
病院に行かねばならない必要性は、本人が一番分かっている。



「あの…、私、どうやってここに…?」


ここに運ばれた記憶が全くないので、また古庄が運んでくれたのかと、確認してみる。


「ああ、ラグビー部で2年生の堀江くんが運んでくれたのよ。力持ちだから、軽々とね」


「そうですか…。お礼を言っておかないと…」


堀江というのは、古庄の担任するクラスの子だ。
ラグビー部員だから、このことが今頃、部活指導に行った古庄の耳にも入っているかもしれない。


佳音のことで問題を抱えている古庄の心に、これ以上負担をかけたくないと思ったが、この体のことばかりは真琴の意志と根性ではもうどうにもならなかった。



「…私はちょっと職員室へ行ってくるけど、症状が落ち着くまでゆっくり休んで行ってね」


養護教諭はそう言うと、ベッドを取り巻くカーテンを閉め、保健室を出て行った。


放課後の保健室は、生徒が来ることもあまりなく、静けさが漂ってくる。



< 76 / 343 >

この作品をシェア

pagetop