クリスマスデートから帰ってきたら、幼馴染みが豹変してしまいました。
「やめてッ離してッ犯されるッ!」
「人聞きの悪いこというな。やさしくしてやんねぇぞ」
「すでにやさしくないんだよ!全然ロマンチックでもないんだよ!なんなの、いきなりヤらせろとか、これじゃシンゴ先輩となんもかわんないじゃん!!」
勢いで言ってしまったけれど、希鶴の前でその名は禁句だったらしく。途端に希鶴の顔は、クリスマスに恋人に見せるにしてはあまりにも恐ろしい表情になる。
「……ざけんな。俺をあんなのと一緒にすんじゃねぇよッ」
「で、でもさ、やってることは一緒じゃんっ」
「全然違うっての!………なんたって、こっちにはちゃんと愛があんだから」
愛って。アナタ。
希鶴、あんた愛とか語るキャラじゃないっしょ。
「…………ちょっと希鶴、何恥ずかしいこと言いだすんだよッ」
あたしの方が恥ずかしすぎて非難すると。
「嘘じゃないんだからいいだろ」
あたし以上に恥ずかしそうな顔をしつつも、希鶴は居直るようにきっぱり言ってくる。
なんか馬鹿みたいに恥ずかしいけど。
希鶴の言った『愛』っていう甘い言葉にあたしはうっかり痺れてしまって。
あたしにとって災難だかしあわせなんだかよくわからないけど、この晩あたしは生まれて初めてカレシとクリスマスを過ごすことになりました。
<おしまい>