イケメンヤンキーに愛されて

さらに、あたしは一人分の布団くらい持てるのに、翔君は二人分持っている。

「あのー、翔君。あたしの分は、自分で持てるよ?」
「ダメだ。お前、危なっかしくて見てられねぇ」

そして、軽々と二人分の布団を持つと、すたすたあたしの部屋に入って行った。
早っ!と思いながら、小走りで翔君を追いかけた。

部屋に入ると、布団も翔君が敷いてくれていた。

「翔君、本当にありがとう」
「なんだよ、急に。じゃあな、おやすみ」

あたしが珍しくお礼を言ったのに、翔君はたいした反応もせずに、部屋を出ていった。
こんなふうにお礼を言えるのは、これが最後かもしれない。

できるだけ頭の片隅に追いやっていたが、明日には帰るんだ。
自分のいるべき場所に。

翔君のことも、ちゃんとかたをつけよう。

帰ったら、萌花に話そう♪
翔君と出会って、何があって、他の皆との思い出も・・・。

悲しみと楽しみなことをぐるぐる考えながら、眠りについた。
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