カルネージ!【完】















「いらっしゃいませー」




店内に入った瞬間、もわっとした温かい空気に体が包まれた。


あ、あったかい~!


阿久津はこの店の常連らしく、さっさとちょうど2席空いていたカウンター席に腰を下ろす。


私も真似て、コートを脱いで椅子にかけた。




「醤油ラーメン2つで」




水を持ってきた店員さんに、私の意見も聞かずに注文した阿久津は、涼しい顔でメニュー票を元の位置へ戻す。




「待ってよ、私味噌ラーメンが食べたかったのに」


「気にしなくていいんだよ」


「なにが!?」




まあ、そこまで強引にするなら、ここのお店は醤油ラーメンが目玉なんだろう。阿久津を信じて、注文の訂正をすることはしなかった。


夕飯時には少し早いせいか、今日がクリスマスイブのせいか、店内のお客はそんなに多くない。



……いや、ただ単に、イルミネーションの光も届かない、街外れの小さなさびれた狭いお店だからって、だけかもしれないけど。



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