そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
…間もなくして駆けつけた警察によって、

盗まれた物などの確認をされたが、

母の言いつけを守っていたおかげなのか、

何も取られる事はなかった。


…警察が帰り、動けないでいる私を、机の前に座らせた修は、

割られた窓ガラスに、探し出した段ボールで応急処置をした。


「…矢沢」

「・・・・なんです、か?」

「一人でいられるか?」


「・・・・」

私は必死に首を振る。

そんなのいられるわけがない。

一度入った犯人が来るはずはないけれど、

犯人に顔を合わせているわけで・・・。

また来ないとは限らない。


「…実家は?」

「・・・埼玉です」

しばらく私を見つめていた修だったが、大きな溜息をついた。


「オレんとこ、…来るか?」

「・・・・」


「一人でいられるようになるまで・・・」

優しいその言葉に、私は静かに頷いていた。
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