そっと、もっと、ぎゅっと~私に限り無い愛を~
そう思った瞬間だった。

突然黒い影が私にぶつかった。

・・・その一瞬の間にかすかに見たのは、血走った目をした

男の顔。


ドン!ガッシャン!!

「矢沢?!」

その異様な音に、靴を脱ぐのも忘れ、修が私の下に駆け寄り、私を支えた。

「何があった?」

「・・・・」


驚きと恐怖で、声も出ず体が震える。

酔いなんて、一気に醒めてしまう程に怖かった。


「矢沢?」

「…お母さんが、大事な物は常に持ってろって」

「・・・え?」

「都会なんて、何があるかわからないからって」

「・・・・大丈夫か?」


・・・初めて、こんなに優しい修の声を聞いた。

「怖かった~・・・」

「・・・」

そう言って泣き出した私をしっかり片手で抱き、

修は警察に電話した。


…どうやら、留守を狙った空き巣の仕業だったようだ。

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