偽装シンデレラ～続きはオフィスの外で～

「母が君に言ったコトは気にしないで…」

「柚希…さん？」

「偶々、社長室のドアが開いていてね…聞えたんだ」

「母さんは爺ちゃんと同じで…俺の邪魔ばかりする」

「それは…母親として…柚希さんのコトが心配だからだと思います」

「心配ね…それが余計なの…。俺には俺の人生があるんだよ」
いつもは淡々している柚希さんの声に荒ぶる感情がこもる。

「まぁまぁ…落ち着いて…相馬先生も…カノンちゃんもね・・・」

「え、あ・・・はい」

ママが眉間にシワを寄せて不機嫌になった柚希さんのご機嫌を取り、私に出来立ての水割りを出すように促す。

柚希さんは水割りを一気に飲み干した。

「今夜は帰る・・・」

柚希さんはスツールから腰を上げた。

「もう帰るの？相馬先生」

「今夜は長居する気にはなれない・・・」

私が悪いんだろう…