偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
私は柚希さんを見送ろうと一緒に店を出た瞬間、カウンターの中でガダッと物音がする。

「どうしたの?ママ」
振り返るとママがその場に蹲っていた。

ママは真っ青な顔で立ち上がり、作り笑いを浮かべる。

思い返せば、今夜のママの声に張りが無く、どこか調子が悪そうだった。

「柚希さん、ママの様子がおかしいの?」

私は柚希さんに助けを求めた。

柚希さんは店に戻り、カウンター越しにママの様子を伺った。ママの額に手を当て一言呟く。

「ママ…熱があるよ」

「昨日あたりから食欲が無くて、倦怠感が酷いの」

「それって…インフルエンザかもしれない。俺と一緒に病院に行こう。ママ」

「私…病院は・・・」

ママは大の病院嫌い。

「インフルエンザは市販の風邪薬では治らないよ。ママ」

柚希さんはキツイ口調でママの右手を掴んだ。





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