偽装シンデレラ~続きはオフィスの外で~
駅構内に入った途端、濱部部長は立ち止り、後ろを振り返る。

「嘘つきだな。お前彼氏居たのか…」

「真一とは1週間前に別れました。別れを切り出したのは彼の方です」

「別れて1週間か…同じ大学の同級生が相手と知っていたのか?」

「知りませんよ」

私とは正反対のタイプの凛々子が相手だった。
彼女は明るい性格で友人も多く、甘え上手なオンナ。

「ショックか?」

「別に…まぁ―彼とは縁がなかった。それだけです」

「…恋愛してもクールなんだな」

本当はショックだった。部屋で涙が枯れるまで泣き続けた。あんなに泣いたのは久し振りだった。
幾ら、クールでも泣きたい時は泣く。

私と真一と5年も交際していたのだから・・・
彼は私の家庭事情も知っていた。

彼に対して情があるのよ。





< 22 / 210 >

この作品をシェア

pagetop