偽装シンデレラ~キスの続きはオフィスの外で~
弥英子ちゃんの容体が気になると奈那子は病院に残り、一緒に母親と帰ると言い出した。

俺と奈那子達はエントランスで別れる。
奈那子と母親はエレベーターホールへとお喋りしながら歩いて行った。

「俺は帰るとするか・・・」

無事に挨拶も終えたし、病院に滞在する意味がなくなった。
早く帰ろう…

俺は二人の背中を見届けて踵を返して出入り口を目指す。

「待て…稜真」

白衣の裾を靡かせて柚希さんが怖い顔で俺を呼び止める。


「柚希さんあんたは医局に」

「1回は戻った。でも、お前と話がしたくて戻って来た」

「俺に話?」

柚希さんは俺に話?
彩名のコトか?
それともーーー・・・


「嘘つき…お前は一生結婚しないと俺と約束しなかったか?」

「それは・・・」



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