偽装シンデレラ～キスの続きはオフィスの外で～

そうだ。俺は柚希さんに一生結婚しないと約束した。



「やはり…お前が地道さんの相手だったのか・・・」

「・・・」

柚希さんは俺の前へとしゃしゃり出る。彼は俺の行く手を阻み、漆黒の二つの瞳で睨み据える。

「拓真さんが相手なら判るが…お前のようなオンナに節操のないヤツが地道さんの結婚相手だなんて許せない」

柚希さんは奈那子に固執していた。もしかして…柚希さんは奈那子に？

「俺は一生結婚出来ない。お前に結婚相手を殺されたんだからな…」

「あれは・・・」

「お前が溺れなきゃ…彩名は発作を起こしたりしなかった」



「…彩名が生きていれば、俺と幸せになっていたと思う」


奈那子のコトを…一瞬そう勘ぐったが、柚希さんは今でも姉貴のコトを。


「そうだな。貴方と幸せになっていたと思う」

二人は幼なじみで将来結婚を約束していた。柚希さんが医者を志したのも心臓病の姉貴を治す為。