ダーリンは財閥
しばらくして目が覚めると拓哉は頭を撫でていた。

「拓哉ゴメンっ寝ちゃった」

「妊娠すると疲れるみたいだから絶対無理して起きてたりしないこと分かった愛たん」

「はぁい旦那たま」

拓哉は真っ赤になっていた。

私の妊娠は皆が幸せになれた出来事なのは良く分かった。

ただ私は初めての妊娠に不安で一杯だった。

つありもひどくて食欲さえ消えた
食べなきゃ分かってても喉を通らなかった。

拓哉は毎日心配してくれてた。

お腹をさすってくれたりした。

検診の時は毎回付き添ってくれた
今日は最後の検診

先生に

「一週間後入院ね」

とうとう生まれるんだと嬉しさで一杯だった。

自宅へ帰ると

「一週間後から愛たんいないんだね」

「もう拓哉は甘えん坊だね、赤ちゃん生まれたら甘えん坊はダメだよ」

「分かってるけど甘えたい」

と抱きついて来た。

「たくもぉヨシヨシ」

周りから見たら確実にお馬鹿夫婦それでも私は幸せだった。

入院の当日私は身支度をして拓哉と病院に向かった。

病院は個室だったから気兼ねなく過ごせた。

夜は拓哉は私の隣のソファーで寝るようになった。

入院して5日の朝方私は陣痛に襲われた。

痛くて死にそうだった。

看護師さんに

「藤堂さん分娩室に移動しますよ」

言われて移動した。

力んでる最中に看護師さんに耳元で、

「ご主人も向かってますから頑張りましょう」

どれくらいの時間だったか忘れたけど

『オギャー』

と私は女の子を出産した。

全身汗だくだったけど何故か涙が赤ちゃん見た瞬間溢れた。

拓哉も子供抱っこしながら大泣きしていた。

「愛有り難うお疲れ様」

とほっぺにキスされた。

私はいつの間にか眠ってしまったらしく起きると拓哉の両親と私の両親が病室で赤ちゃんを見てた。
「お父さん、お母さん来てたんですね」

「愛有り難う良く頑張ったわね」
拓哉のお母さんは泣いていた。

私のお母さんも泣いていた。

面会の時間が終わり親達は帰って行った。

病室には拓哉と私だけになった。
拓哉は私の手を握りしめ

「愛痛かっただろう、
側で手を握ってあげれなくてゴメンな」

拓哉の目には涙が溢れてた。

「泣かないの拓哉、
私は大丈夫」

拓哉は私に抱きついて泣き止まなかった。

私は拓哉の背中をさすった。

拓哉が泣き止むのを待ち

「拓哉名前決めようよ」

と言って見た。

拓哉は

「名前可愛いの考えよう」

「メチャクチャ可愛い名前にしよう」

と二人で何個か案を出した。

互いの両親の意見も聞いてから名前はつけることにした。

ていうより互いの両親に名前は任せたかった。

『初孫』

この言葉である意味あんなにはしゃいでた両親達に託したかった。
私はしばらくして赤ちゃんと退院した。

マンションに帰るとホッとした。

赤ちゃんをベビーベッドに寝かせて私は両親達と名前決めを始めた幾つかの候補が出た。

☆友理奈
☆こずえ
☆愛莉
☆希美

この4つから皆が選んだのは

☆希美☆

だった。

次の日拓哉と出生届を出しに行った。

互いの両親は頻繁に子供に会いに来た。

特にお母さん二人は1日置きに何かしら持って会いに来た。

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