君にKiss 【短編】

『私は何もしてないよ。
それより、私の方が一杯
光輝に助けられて、
一杯幸せをもらったよ。
お礼を言いたいのは私だよ。

光輝がいなくなった日
一番言わなくちゃいけない言葉
ありがとうが
私は言えなかったから…』


光輝は両手で私の頬を包んだ。
そして微笑みながら言う。


「ありがとうが
一番言いたかった言葉?」


『えっ…』


「オレは、待っててより
もっと言いたい言葉があったよ。……花梨、好きだ。」


私を真っ直ぐ見つめる光輝の瞳に吸い込まれそうになった。


「花梨は?」


光輝は私を優しく
見つめたまま首を少し傾け
不安そうな表情で私を見た。


『私も…大好き…』


私は光輝の不安をかき消したくてとびっきりの笑顔で答えた。

光輝の顔が笑顔に変わる。


「幸せにするから、ずっと
側にいて欲しい。」


『はい…』


「もう、離さない……」


そして光輝は
優しく私にKissをした。


「やっと出来た。」


『えっ、何が?』


「花梨にKiss。」


ニッコリ笑って光輝は
もう一度私にKissをした。

今度は長い長い
とろけるようなKissを……。



**〜END〜**
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