S-exchenge
小さく、ため息をつきながら俺は心の中のメモに、やるべき事として書き加えた。


忘れるとホントにうるさいからな、あの人は。


取っ捕まえられたが最後、延々とあの人の話が続くだろう光景が、簡単に予測できてしまう近い未来に、俺は肩を小さくすくめてしまう。


そうして先刻、履き替えたばかりの上靴で中庭の土の上に降り立つ。


霧雨のような細かな雨足は、少し視界を狭くするのと空気を重く感じさせるだけで、俺の行動を遮るほど強くはない。


わざわざ傘をさすのも面倒で、俺はそのまま中庭をゆっくりと移動した。
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