きっと、君を離さない


やっぱり、理恵の思い過ごしだったのだ。
ちゃんと本人に確認しないから。

今日、学校に行ったら一番に理恵に教えよう。
そして、ちゃんと想いを伝えるように言おう。



きっとわかってくれる。
だって、彼女なんていなかったんだから。





でも、私のその思いは学校についたその時に、はかなく消えたんだ。




遅刻なんて一度もしたことなかった理恵が学校にいなかった。
不安になった私に、教室に姿を現した担任が、追い打ちをかける言葉を言ったんだ。






「別れの挨拶ぐらいと言ったんだが、寂しいからとこうして事後報告になったが、・・・本田理恵が転校することになった」





その言葉を、うまく理解できなかった。
高校3年の3学期。
まさかこの時期にそんな。




「あと3か月、本田だけでもこっちに残って卒業することも考えていたようだが、やはりご両親について行く決心を付けたらしい。出発は今日の正午らしい。皆、寂しいと思うが本田の門出を応援してあげよう」





一体、なにを言っているのか。







理恵が、いなくなった。








私を、置いて。







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