過去の私と今の私
しばらくして私の趣味は
人間観察になった。

特に話に行く相手もいないから
クラスの人たちのやりとりを見ていた。


まだ2限目が終わったばかりなのに
お弁当にがっついてる男子。

1人の子の机に3、4人で集まって
楽しそうに会話をしてる女子。

話したことのない子も
たくさんいたけどそうやって
端から見てるのが好きだった。



そんなある日、小腹満たしにか
バナナを食べている男の子がいた。

なんともまあ美味しそうにバナナを
食べている。



すると

「誰かバナナ食った?
むっちゃバナナの匂いすんだけど。
しかも俺バナナ嫌いなんだけど」

とある男子が言った。



「ごめんなさい、僕です」

バナナボーイは自白した。



「お前かよ!バナナ食ってんの!
…まぁ、いいけどね!」


私はこのやりとりを見て
一人で笑ってしまった。

彼は優しいのか怖いのか
どっちなんだろうと。


彼の名前は直人くん。



直人くんはいつも怒ってる。

もちろんふざけてだけど。

主に隣の男の子に向かって。

前のクラスが一緒だったらしい。

仲良さそうに見えた。



この時私の中で、バナナが嫌いで
いつも怒ってる犬顔の男の子、
というイメージが作られた彼と
のちに私が付き合うことになるとは
思ってもみなかった。
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