虹色の騎士団
紅茶と一緒に
兄貴お手製のクッキーが
出てきたので、

オレは 早速
一枚取って、
口に入れる。

「夕食前なので、
あまり お腹いっぱい
食べては駄目ですよ」

そう言いつつ、

現役高校生である
オレの胃袋が

クッキー位で満タンには
ならないのを

兄貴は よく知ってるはず。


「勿論、凛君も
夕食、食べていってくださいね。

今夜は、あなたが
好きな物を作りますから。」

「…すいません。」

そう言って
兄貴に向かって
軽く会釈する。


「あ!
そー言えば、先生から
兄貴に伝言あったんだ!」

「伝言…?
彼方から…ですか?」

オレが内容を伝えると
兄貴の表情が
軽く 強ばった。

「そう伝えれば
わかる…と、
彼方が言った…?」

兄貴は強ばったままの
表情で

オレに聞く、と言うよりは

まるで
何かを考えながら
独り言を呟いているような雰囲気だ。

「香澄さん…」

何故か、
凛まで複雑な顔をして
兄貴の方を見ている。

兄貴は、
ほんの少しだけ
表情を和らげ
笑いかける。

「大丈夫ですよ、凛君…。
心配しないで下さい…」


……?

何だ…
この2人の
この雰囲気…。

オレには入り込めない、
なにか…
ピン!とした空気が

兄貴と凛の間に
漂っている。

「まさか、今夜なんですか?」

「その様ですね…」

「こんな突然なんて…」

「彼方に言わせれば、
時が巡った…
と、言う事なんでしょう…」


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