虹色の騎士団
「日向には先ず、これをあげる。」

右手を取られ、手のひらに『何か』を乗せられる。

手を開いてみるとそこにあったのは、細かい半月型の黒い粒…。

これって…種…?

しかも何か見覚えが…。

「それはね、朝顔の種。

庭に花壇があるから、そこに植えて。」

「…………?」

朝顔の種ならオレに見覚えあるのも分かった。

その上、まんま小学校の頃の自由研究みたいな事を言われたけど…。

「…それで?」

「ここにいる間、日向には歌の練習をしてもらいたい。

清浄な大気を身体に取り込み、身を清め、舞乙女としての力を育てる…

それが、キミのここでの修行の目的だよ。」


歌の練習…。

…実は、お風呂場での事件以来。

オレは鼻歌以上の歌を歌わなくなっていた。

色々、回復もしたし、家の結界張り直したってのも理解してるつもりなんだけど


どうしてもまた変な物引き寄せるんじゃないかと思うと…。

実を言うと、学校の音楽の時間まで口パクで誤魔化すようになってたんだ。

風呂場で死にかけ、

時間が経った後に行った折角の遊園地でも、大変な事になって…。

その結果、楽しかった筈の1日が滅茶苦茶になった。

舞乙女の力と関係ない『祈りの歌』を
、たった一回歌っただけで…。



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