虹色の騎士団
オレは隣に座り、足を地面に伸ばす。

「…こんな所で、何してんだよ。」

「…小さくて醜い自分の心と向き合ってた…

そんな所かな……。」

もう一度、月を見上げる。

「以前、凜に言った事があるんだ。

人を好きになるのは苦しい。

だけど、その苦しみを感じられる事を俺は幸せに思ってるってね…。」

凜と真宵が、そんな話、してたなんて…全然知らなかった…。

「あの時の気持ちに嘘偽りはない。それは誓って言える。

だけど…俺は本当の意味で、人を想う苦しみを知らなかった…。

今朝…、それを思い知らされたよ。」

読み取れない静かな表情のまま、淡々と話す真宵。

だけど…着物の胸の合わせを掴む手は、ぎゅっ…と力が込められているのが分かる。

< 399 / 786 >

この作品をシェア

pagetop